マリ
大好きだったマリ。
いたずら好きで、骨つき鶏肉の骨が大好きで、散歩が好きで、とってきたカエルと遊ぶのも好きで、寂しいのが嫌いで、すごく頭が良くて、いつも慰めてくれて、バッタを追いかけてどこまでもいってしまって、食事を取られそうになると少し怒って、一緒に朝日が昇るのをずっと静かに眺めてくれて、眠たい時は甘えてきて。
本当にもう大好きで、家族の中で一番俺と性格が合っていた。目がすごく綺麗で、本当の事見透かされているような気がして、少し恥ずかしくなるくらい。
でも、ある日突然いなくなった。
散歩の途中、野良猫駆除の毒エサを町内の人が勝手にまいていた。
それを食べてしまった。
食べた瞬間から吐き出そうとしてたらしいけど、すぐに体が痙攣し始めて、散歩に行っていた父さんはすぐに家に抱きかかえて連れて帰ってきた。何が起こったかも分からないし、一つしかない動物病院も閉まっている。
母ちゃんはずっと名前を呼んだけど、目はどこを見ているのか分からない。体はずっと痙攣している。すぐにマリは死んでしまった。
死ぬ前に母ちゃんの呼びかけに一度だけ母ちゃんの方を見たらしい。
お願いですから、こんな事が起きないようにして欲しい。どこでそんな毒エサを手に入れたか分からないけど、クソ馬鹿野郎にそんなものを扱わせてはいけない。
動物を飼っていない人には分からない事かもしれないが。彼女は僕の最高の友達で、家族で、玄関でいつも帰りを待ってくれてたんです。
どうかこういう事が起きないようにしてください。お願い。