Apple BOY

己の眼でみて、己の耳で聴いて、揺さぶられて、ぷるんぷるん。

土より熱く

土を見なくなった。

僕が育った島は赤い土だ。

土を見なくなった。

僕は知らなかった。

 

あの頃、土は熱かった。

太陽の熱を握り締めたような熱さだった。

 

種と土がありゃ すごい。

 

トラクターの後ろについていって、土の中からゴロゴロと僕のバイトの給料を拾った。それを籠いっぱいに詰めて、お昼になってお弁当と冷えた麦茶を飲んだ。

熱い熱い赤い土の上に優しい風が来た。

爪の間に挟まった土の匂いと、自分がそれでいいと言っていた。

 

土より熱く。

土より熱く。